Plumeria Library
プルメリアの図書館です。プルメリアを育てる為に必要な基本情報をまとめてあります。
プルメリア
Family:キョウチクトウ科、インドソケイ属
Origin:西インド諸島
Name:Plumeria/Frangipani/Temple Tree/Pagoda Tree/Pua Melia
●プルメリアの特徴
プルメリアはキョウチクトウ科・インドソケイ属の熱帯花木で、原産地は西インド諸島、このほか中南米などにも分布しています。日本でも沖縄、小笠原諸島などで自生しているものが見られます。比較的乾燥に強く、15度以上で生育が活発になり15度以下では生育がゆるやかになります。10度以下では葉を落とし休眠します。断水してある程度の寒さに耐えられすようになりますが、霜があたると枯死するので、冬は室内に移動させ5〜8度を保つように心がけます。枝を折ると、毒性のある白い乳液を出しますのでアレルギーのある人は注意が必要です。花は比較的大きく芳香があり、日本では5月から10月ごろが開花期となります。また、花弁が厚く花持ちが良い為、ハワイではレイの素材として最もポピュラーな花です。寒さには弱いので冬場は室内に移動させる必要がありますが、日本の夏は生育には最適。鉢植えでベランダでもたくさんの花が楽しめます。
●主な種
Plumeria Rubra:プルメリア・ルブラ
熱帯アメリカ原産の高さ3m〜5mほどの低木で、葉先が尖っていて冬に葉を落とします。春から秋にかけて花を付けます。色や香りもバラエティに富んでいて、園芸種として紹介されるほとんどがこの種です。ハイブリッド種(交配種)はすべてルブラ種となります。
Plumeria Obtusa:プルメリア・オブツサ
キューバ・ヒスパニョーラ島とメキシコのユカタン半島に原産する高さ8mくらいの低木です。葉先が丸く光沢のある濃い緑色をしていて、冬でも葉を落とさないプルメリア唯一の常緑種。シンガポール・ホワイトとも呼ばれています。
Plumeria Pudica:プルメリア・プディカ
矢じりのような葉の形状が特徴的な原種です。細い枝に沢山のの白い花を付けます、花に香りはありませんが、育てやすく沢山の花を密集した枝に付けるので別名ブライダル・ブーケの名前でも知られています。
●名前の由来
日本名は「インドソケイ」ですが「インドのソケイ」と言われてもここでいうインドは原産地の西インド諸島の事なのであまりピンと来ません。一番多く呼ばれている名前はやはり「プルメリア」でしょう。この名前は17世紀にカリブ海を旅していたフランスの植物学者、Charles Plumier(チャールズ・プルミエ)の名から来ています。プルメリアは他にも沢山の呼び名があり、Frangipani(フランジパニ)、Temple Tree(テンプル・ツリー)、Pagoda Tree(パゴダ・ツリー)、Pua Melia(プア・メリア)などがあります。フランジパニはフランス語でキョウチクトウ科特有のあの枝や葉を折ると出てくる白い乳液の事を指すようです。テンプル・ツリーやパゴダ・ツリーは名前の通り、お墓や寺院などに植えられている事が多かったためにその呼び名がついたそうですが、東南アジアでもこの呼び名が使われていました。そして、プア・メリアはハワイ名。プアはハワイ語で「花」という意味です。ハワイでレイフラワーとしてメジャーなプルメリアも実はハワイ原産ではなく、ハワイに紹介されたのは1860年。
●園芸品種
カウアイ島のウィリアム・モラーニが最初の人工交配を成功させ、沢山の美しい園芸品種を生み出しました。その技術はオアフ島のジム・リトルに引き継がれ、今まで見た事のない、さらに多くのプルメリアが生み出されています。プルメリアは自然交配でも様々な色や形や香りの新しい花を作りだす事が可能です。園芸品種の登録はアメリカ、テキサス州のPlumeria Soceity of America(プルメリア・ソサエティ・オブ・アメリカ)により行われています。
春の管理(4月、5月、6月)
気温が15度以上に安定して来たら室内で休眠させていたプルメリアを日当たりの良い屋外に移動させます。
*春が近づき、葉が少し動き出して来たからといってあわてて水やりをしないように注意します。気温が安定して来るまで待ち、徐々に少しずつ増やしていきます。
*関東では5月上旬のゴールデンウィーク頃に屋外に移動させるのが一般的です。
夏の管理(7月、8月、9月)
6月頃から秋までが開花のシーズンです。真夏は風通しの良い場所に置くと害虫も付かずに健康的に育ちます。梅雨や台風のシーズンには一時的に軒下等に避難をさせると良いでしょう。
秋の管理(10月、11月、12月)
気温が15度以下に下がると葉を落とします。室内に移動させる合図です。水やりの回数を徐々に減らして乾燥気味に育てます。
*関東では通常10月中旬頃に室内に移動させます。
冬の管理(1月、2月、3月)
水を与えず断水する事によって寒さに耐えます。全く葉がない状態で、春まで暖かい室内で休眠させます。春になり気温の上昇とともに葉が動き出して来ます。目覚めの合図です。
*種さやが付いても、水やりをしないで種は生長していきます。
肥料の開始:
春に葉が動き出し、大きな葉が5枚以上出て来てから(根が動き出してから)肥料を開始します。根が生長していない状態で肥料を与えると苗を傷める原因となります。
肥料の終了:
秋に葉が落ち始める頃には根が水分を吸収しなくなってきます。水やりの回数も少なくしていく頃に肥料はストップします。
■用意する物
○穂木:枝は固く、切り口の断面がしっかり乾燥しているものが良い苗です。
○発根促進剤(ルートン/住化タケダ園芸):苗木にホルモン剤を付け根を出やすくします。
○人工培養土(パーライト、ピートモス、バーミキューライト=3:1:1の割合)を混ぜ合わせて、水はけが良く清潔なプルメリアの土をつくります。
○緩効性肥料(マグァンプK/ハイポネックス):土に混ぜ込むタイプの肥料です。
○4〜5号鉢:水はけの良い鉢を使います。小さな穴が1つしか開いていないようなもの、苗木に対して大きすぎる鉢は土中の水分が乾きにくいので、おすすめしていません。根詰まりしてから徐々に鉢を大きく植え替えしていきます。
○鉢底ネット:土が流れ出たり、害虫が入ってくるのを防ぎます。
○ゴロ石:水はけをよくします。
■植え方
1.苗木の下から8cm程度のところに印をつけておきます。(印の部分までを植え込みます。)
2.苗木に発根促進剤(ルートン)を付けます。
3.鉢底に鉢底ネットを敷き、ゴロ石を入れ、人工培養土で苗木を倒れてこない程度(印をつけた部分)までを土中に植え込みます。苗木が倒れてきそうな場合には支柱を立てても良いです。
4.鉢の下からきれいな水が流れ出るまでたっぷりと水をやります。
5.風通しの良い直射日光の下で育てます。次に水をやるのは土が完全に乾いてから。これをくり返すと1ヶ月程度で根が動き出してきます。大きい葉が展開してきたら根が動き出してきた合図です。肥料は葉が5枚以上出て来てから(根がしっかりと張るのを確認してから)与えます。
プルメリアの種は親木と同じ花が咲きません。同じシードポッドから採取した種でもそれぞれ特徴の違う花が咲きます。花を咲かせるまでどんなプルメリアが咲くのかは分かりませんが、それが楽しみでもあります。シードリング(実生)で咲かせた花に自分で名前を付けてみませんか?
■用意する物
○プルメリアの種
○小さめのナーセリーポット
○培養土(*プルメリアの植え付け参考/ピートモス多めでも良いですし、湿らせたコットンにはさんでおいても、パーライト100%でも発芽します。)
■植える時期
気温20度以上で発芽します。5月以降がベスト。
■植え方
1.種の羽(ウイング)部分が外に出るように植え付けます。
2.発芽までは水を切らさない様に注意します。
3.置き場所:半日陰〜日なた。太陽に当てて発芽を促しましょう。
4.10日程度で発芽します。(植え付ける気温や、種の状態により多少異なります)
■注意点
1.基本的にはシードリングのプルメリアも他のプルメリアと管理方法は一緒です。種から育てたものは丈夫で育てやすいですが、通常のプルメリア同様、霜にあたると枯れてしまいますので、冬場は暖かい部屋で水を断って冬越しをさせます。
2.花が咲くまでは通常3年程度かかります。花付きの良いものもありますが、なかなか花を付けてくれないものもあります。
■その他
「シードリングの根は挿し木より強い。」という特徴を活かし、接ぎ木の台木として使用する事もおすすめします。
Plumeria Study Vol.1~12
育て方、その他情報
プルメリアの育て方や情報をまとめたシート12種(2004年〜2007年度作成版)
*PDFファイルでご覧いただけます。
参考資料
Useful Plumeria Information:
プルメリア関連の資料
NEW
■Hawaii Landscape March/April 2018
Paul R. Weissich 1925-2018, A Hui Hou by Heidi Bornhorst
「ポール・ウェイシック氏への追悼記事」
長年信仰の深かったハイジさんの想い出と共に、園芸家、造園家、ハワイの植物園の管理に貢献したポールさんの功績をたたえています。
■Hawaii Landscape May/June 2017
Plumerias have fingerprints? by Richard A. Criley
「プルメリアには指紋があるか...?」
DNA鑑定の結果、原種はさび病にかかりにくく、ルーブラ種はどれもさび病にかかる性質を持っているという結果に基づき、原種との品種交配により、より「さび病」にかかりにくく庭植えに適した品種を作り出す事は可能だろう、という記事内容。原種7種類の紹介も含まれています。
*実際に原種との交配種はHong Kong, JL Hang Looseなど現在では数多くあり、さび病にかかりにくいです。Obtusa種(シンガポールホワイト)も原種ですが「さび病」が発生します。Obtusa種の交配種であるDwarf Singapore Pinkも発生します。
*さび病:葉の裏にオレンジ色の粉を吹いたような斑点がでますが、見映えが悪くなりますが、これによってプルメリアが枯れる事はありません。
■Plumeria in Hawai'i by Richard A Criley
College of Tropical Agriculture and Human Resourses:
University of Hawai'i at Manoa
「ハワイのプルメリア」
ハワイ大学のリチャード・クライリー教授のまとめた文献。ハワイのメジャーなプルメリアの特徴と写真が紹介されています。
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